311「ウスバカマキリ」
堀金村公民館主催の自然観察会で、子どもの一人が見慣れないうす緑の
カマキリを見つけてくれた。
手にしてみると、よく見かけるカマキリであるオオカマキリやチョウセ
ンカマキリと様子の違うことに気づいた。
例えば、手を離すとすぐに飛び立ってしまい、飛行距離も結構長い。ま
た、飛んでいる姿が白っぽく、翅を縁取る色も赤
みが掛かっている、などである。そしてカマの付け根には見慣れない目
玉模様が‥。
よく調べる前に、このカマキリを逃してしまい最終同定に至らなかった
が、この界隈では記録の少ないウスバカマキリではないかと思われた。
写真:2003.9.27 堀金村
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写真1
 写真2

312「コカマキリ」
コカマキリは体長5p前後の小型のカマキリである。人家周辺にも生息しているが、気付く人は少ないで
あろう。他のカマキリとの明確な違いは、ふくらんだカマの内側に独特の斑紋を持つことである。
今回は、道で出会ったコカマキリを、腕を伸ばして反対側から撮影してみた。コカマキリを見つめる
私の顔が、やや常軌を逸しているように見えるのは気のせいである。
写真1:2003.10.4 写真2:2003.9.15 いずれも堀金村
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写真1
 写真2

313「ヒラアシハバチ」
山麓のハンノキが丸坊主になっていた。犯人は無数の芋虫たちで、ハンノキを食害することで知られる
ヒラアシハバチの幼虫と推察された。この幼虫は顔や手を近づけると、一斉に体を曲げてアルファベット
のS字のようなポーズをとり威嚇する。
天敵に対してどのくらいの効果があるかは疑問であるが、これほど身をよじらせるのは大変だろうと思う。
写真:2003.9.27 堀金村
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写真1(ヒラアシハバチの幼虫)
 写真2(S字のポーズ)
 写真3(食害されたハンノキ)

314「アキアカネの産卵」
雨上がりの水たまりで、アキアカネたちが盛んに産卵を繰り返していた。アキアカネは雄雌が連結したまま、集団で産卵の
ための飛行を行うが、時にその数は万余に及ぶこともあるという。
連結は、雄が尾端の付属器で雌の後頭部をはさみ込むことによって成立する。雌にとっては「首根っこ」をつかまれたようなものであろう。
それにしても、連結後、雌雄別々に羽ばたきながら飛翔し、産卵時はホ
バリング(空中静止)をするなど、トンボの高度な飛行能力には驚くば
かりである。
写真:2003.10.15 三郷村
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写真(アキアカネの産卵)



315「ミヤマサナエ」
白い鱗粉を顔に散らして、もくもくとモンシロチョウを食べているのはミヤマサナエの雌である。10月も半ば近いというのに、ひょっこりと
三郷村役場のビオトープ池に姿を現した。深山で見つかることから「深山早苗」の名があるが、低地の河川で発生
してから高地に移動し成熟するのだという。なるほど、野生をむき出しにしたその姿には、逞しさが溢れていた。
ところで、鱗粉の付いた顔をどうやって拭くのだろうか。どうにも気になるところである。
写真:2003.10.9 三郷村役場
同定については枝 重夫先生のご協力を得ました。ありがとうございました。
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写真1(ミヤマサナエ)

316「イナゴ3兄弟」
4匹のイナゴ(コバネイナゴ)が、連なったまま側溝に落ちてひっくり
返っていた。おそらく、4匹がオンブの状態で歩いていたが、バランス
を崩し転落したのであろう。何もそこまでして乗らなくてもと思うのだ
が‥。
そっとすくい上げたところ、唯一の雌はさっさと逃げてしまい、雄が3
匹、オンブの状態を保った。こちらを向いた顔がなんとも面白い。
この後、3匹は歩き出したものの、これまた不安定で、倒れてはもがい
ていた。雄同士がオンブに固執した理由は何であろうか。
2003.10.25 三郷村
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写真(イナゴ3兄弟)


317「秋の彩り」
雑木林に沿って散策していると、赤い実を付けた植物が次々と目に入っ
た。どれも甲乙つけがたい造形と色彩である。一人で見ているのはもっ
たいないくらいだ。
かつて雑木林が身近だった頃、赤い実を、好奇心に満ちた目で見つめる
子供がたくさんいたことだろう。
ひっそりと色づく里山の彩りは、何だか寂しさを漂わせていた。
写真:2003.10.25 三郷村
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写真1(ガマズミの実)
 写真2(ニシキギの実)
 写真3(ツルウメモドキの実)
 写真4(ソヨゴの実)

318「キツネ」
山麓の雑木林で野生のキツネを撮影することができた。逆光に照らされ
た毛並みと、ふさふさとした太い尾が印象的だった。三郷村誌の自然編
をまとめている最中なので、掲載に間に合ったと喜んでいる。
ところで、近年、キツネやタヌキなどの野生動物が人家周辺や市街に見
られるようになった。彼らの適応能力には驚くばかりであるが、一方で
交通事故に遭うケースも後を絶たない(写真3.4)。
彼らが危険を冒してまで侵出する理由は何であろうか。
写真1:2003.10.25 三郷村
写真2.3:キツネ2003.1.18 タヌキ2003.10.23 いずれも三郷村
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写真1
 写真2.3

319「マユミ」
風が渓谷を吹き抜けるたびに、たくさんの枯れ葉が宙に舞う。林道は落
ち葉が積もり、まるでじゅうたんを敷いたようだ。冬はすぐそこまで来
ている。
林道の終点近くで、桃色に包まれた樹木を見つけて思わず駆け寄った。
遠目には花としか見えなかったが、近づいてみるとすべてが実であった。
ニシキギの仲間のマユミである。
まるで末枯れる山に咲く紅梅のようでもあった。
写真:2003.11.1 三郷村
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写真1
 写真2

320「室山のさくら」
三郷村の代表的な観光施設である「ファインビュー室山(むろやま)」
は、標高約800mの室山の頂上近くにあり、温泉と松本平の眺望を楽
しめることから多くの観光客で賑わう。大型の遊具も子供たちに人気だ。
室山の主な樹木はアカマツだが、サクラも結構多い。植えられたソメイ
ヨシノやシダレザクラのほかにも、カスミザクラやウワミズザクラなど
が自生している。
そのため、4月はソメイヨシノ、5月に入ってカスミザクラ、10月は
サクラやカエデの紅葉が楽しめる。室山の楽しみ方は色々あろうが、私
はサクラの景色を眺めるのが一番だと思っている。
写真1:2003.11.1 写真2:2002.4.23
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写真1(秋の室山)
 写真2(春の室山)

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