芋虫のつぶやき
VOL21:(201〜210)

201「チュウサギ」

黄金色に染まった稲穂の上に、いくつもの白く細い首がちょこんと出ている光景をよく見かける。サギの仲間のチュウサギ(中鷺)が、水田周辺 の昆虫やカエルなどを食べるために飛来したのである。

チュウサギをよく見かけるようになったのは、ここ十年くらいの間ではないだろうか。最近はこの時期の水田の風物詩として定着した感がある。

写真:2002.9.13 三郷村
写真1(チュウサギ1)

写真2(チュウサギ2


202「ムラサキシタバ」

9月も残すところ僅かとなった。私の好きなチョウの最盛期は遠く過ぎ、この時期の関心事は何といっても夜の蛾のことである。

手軽なのは夜のコンビニや水銀灯巡りで、休日を待たずして毎日でも楽しめる。山に近い場所では思わぬ大物や珍種に出会うこともあり、わざ わざ発電機まで用意して行うライトトラップに比べて手軽なのが嬉しい。

コンビニの外壁や窓ガラスを懐中電灯で照らして、なめるように見入る怪しげな人物を見かけたら、おそらく我々と同類の輩(やから)と思って 間違いない。

写真1:ムラサキシタバ 2002.9.27 島々谷
写真2:ヒメヤママユ  2002.9.27 島々谷
写真1(ムラサキシタバ)

写真2(ヒメヤママユ)


203「ウラナミシジミ」

秋も深まり、咲く花も少なくなる中で、ノコンギクやオオバクサフジの花はチョウやアブたちで盛況だった。

特に目を引いたのはウラナミシジミである。色あせているものの、独特の縞模様と翅表の青色が美しかった。

ウラナミシジミは、夏の終わり頃になるとよく見かける。越冬が可能なのは房総半島以西の無霜地帯と言われ、そこから世代を重ねながら北進、 ときには北海道まで到達する。しかし、彼らを待っているのは冬という厳しい現実だ。無意味とも思える北上は毎年繰り返される。

写真:2002.10.3 三郷村
写真1(ウラナミシジミ1)

写真2(ウラナミシジミ2)


204「クロウスタビガ」

この日の水銀灯巡りで確認できたガはごく僅かであったが、美しいクロウスタビガや、数が少ないとされるウスゴマダラエダシャクに出会うこ とができた。なんと言う幸運だろうか。

クロウスタビガを被写体にして撮影会が始まった。暗闇にストロボの閃光が幾度も走り、夜は更けていった。一緒に撮影をしていた中田君が 話しかけてきた。「100枚くらい撮ったんじゃない?」「まさか‥、いっても80枚くらいだよ」「そろそろだね」それでもお互い撮るのを止めな かった。

後で数えてみたら、代わり映えのしない写真が150枚も入っていて思わず笑ってしまった。

写真1:クロウスタビガ    
 2002.10.4 安曇村
写真2:ウスゴマダラエダシャク
 2002.10.4 安曇村
写真1(クロウスタビガ)

写真2(ウスゴマダラエダシャク)


205「秋の二の沢」

常念岳や蝶ケ岳の登山口で知られる三股(烏川)や一の沢の林道は、奥まで道路の整備が進んだこともあって、休日ともなれば県外ナンバーの車 で込み合う。かつて、荒れた林道を歩きながら、キベリタテハやツマジロウラジャノメを追い求めた頃が嘘のようだ。

やむなく引き返し、二の沢に入った。こちらは、行き止まりということもあって訪れる人は僅かだ。秋を楽しみながらゆっくりと歩くことがで きた。カラマツ林をぬけると、正面に前常念が霞んで見えた。

足元にツチハンミョウを認めた。ヒメツチハンミョウであろうか。全体が光沢のある黒色で統一されなかなか美しい。

昔から知られるハンミョウの毒は、この虫の仲間が持つカンタリジンという物質のこと。昆虫クラブの子どもたちにも、むやみに触らないよう に注意をすることにしている。

写真:2002.10.5 二の沢
写真1(二の沢)

写真2(ツチハンミョウ)


206「秋の二の沢、その二」

この日、二の沢で確認できたチョウは9種類であった。クジャクチョウやキチョウなど、成虫で冬越しする種の翅は新鮮であるが、その他のチョ ウたちの翅は、色あせ痛んでいているものが多かった。

その中の一種、クモガタヒョウモンは、大型ヒョウモン類の中の先陣ををきって出現(5月中旬)するのに、秋のしんがり(10月中旬)もつとめ るという長寿のチョウである。その秘訣は、暑さを避け「夏眠」することにある。

この日出会ったのはノコンギクを訪れた雌であった。すでにたくさんの卵を産み終えた母チョウに違いない。

他にはミドリヒョウモンの雌も見かけたがこちらもかなり色あせていた。

写真1:クモガタヒョウモン♀
 2002.10.5 二の沢
写真2:ミドリヒョウモン♀ 
 2002.10.5 二の沢
写真1(クモガタヒョウモン♀)

写真2(ミドリヒョウモン♀)


207「昆虫展」

10月19日〜20日にかけて行われた三郷村の文化産業展で、「昆虫展」を開催した。

子供たちの集めた標本や写真、飼育中の幼虫や蛹などを持ち寄って展示をした。また、中田君と私がこの半年間撮りためたデジタル写真のいく つかをパネルにして展示した。クラブ員のなかには、大人顔負けの美しい標本を作る者もいて周囲を驚かせた。

観覧者への対応は子供たちに委ねた。難しい質問もあったと思うのだが、一生懸命に受け答えしている姿が頼もしく見えた。一日半で延べ400 人の入場があった。

写真パネルを作るに当たって、「芋虫」はずいぶん役に立ったが、未使用の写真もあったので、作成したキャプションと共にご覧頂きたい。

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狩バチとアワフキ

アナバチの一種とおぼしき狩バチが、アワフキの一種(モンキアワフキか?)を捕らえていました。虫の顔には感情が表れないはずですが、ハチは 勝ち誇ったような顔に、アワフキは絶望的な表情にどうしても見えてしまいます。

写真:2002.6.15 堀金村
写真1(盛況だった昆虫展)

写真2(狩りバチとアワフキ)


208「ドロハマキチョッキリ」

ドロハマキチョッキリとは面白い名を付けたものだ。「ドロノキの葉を切りながら巻く虫」ということであろうか。揺らん作りで知られるオト シブミの仲間である。

5〜6oの小さな体だが、その金緑色の光沢は重厚で美しい。この時は、イタドリの葉に止まっていた。

写真:2002.6.29 長門町
写真1(チョッキリ)


209「マムシグサ」

春先、蛇の尾のような茎を伸ばすことで知られるマムシグサの仲間。秋にはトウモロコシ状の真っ赤な実を付ける。つやがあり実に鮮やかであ る。写真は、ヒロハテンナンショウと思われるが自信はない。

マムシグサの仲間は一般的に有毒植物として知られるが、リウマチや神経痛、腰痛の漢方薬にもなるという。

写真:2002.9.22 野麦峠
写真1(マムシグサ1)

写真2(マムシグサ2)


210「北アルプス冠雪1」

10月28日、松本では観測史上最も早い平地での初雪を観測、翌29日には大町で18cmの積雪となり、不意打ちのような冬の到来に驚かさ れた。

本日、久々に晴れ渡り白馬連峰まで見渡すことができた。北アルプスの山々の、雪を頂いた峰が美しかった。

写真:2002.10.31 三郷村
写真1(たんぼと常念)

写真2(常念冠雪)



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