芋虫のつぶやき
VOL18:(171〜180)

171「サワギキョウ」

サワギキョウが見ごろを迎えている。キキョウの仲間はラッパや釣鐘型の花が多いが、この花は写真のような独特の形をしている。まるで、手 を広げて踊る踊子のようでもある。

写真:2002.8.18 安曇野
写真1(サワギキョウ1)

写真2(サワギキョウ2)


172「オオヒカゲ」

8月も半ばを過ぎると、主だった蝶のシーズンも終わりを告げ、蝶屋はなにかしら物悲しさを覚える時期でもある。

そんな折、「大したものはいないだろう」と立ち寄った雑木林で、意外にもオオヒカゲに出会って狂喜乱舞した。

ジャノメチョウ仲間きっての大型種。後翅の「蛇の目模様」が一際目立ち、ほれぼれするような美しさだ。

以前は決して珍しい種ではなかったが、今日、安曇野で見かけることは稀となってしまった。

写真:2002.8.18 安曇野
写真1(オオヒカゲ)


173「ゴマシジミ」

食草のワレモコウが生える草原を棲家とする、大型のシジミチョウ。現在、チョウの仲間では、草原種の減少が顕著になっていて、このゴマシ ジミも例外ではない。

4齢で食草を離れ、その後、アリの巣に運び込まれる。アリの幼虫や蛹を食べて育ち、翌年、アリの巣から這い出て羽化するという、チョウら しからぬ生態の持ち主でもある。

写真:ワレモコウに産卵する♀ 2002.8.11 安曇野
写真1(ゴマシジミ1)

写真2(ゴマシジミ2)


174「キアゲハ」

夏型のキアゲハは大型で、黒い斑紋がよく発達するのが特徴である。地色が沈んだ色になる分、後翅の青色と橙色の紋が際立って見えて結構美 しい。

幼虫はセリやニンジンの害虫として知られる。以前、妻に「畑のアシタバにキアゲハの幼虫がいるわよ」と教えられ、見てみると、無数の卵と 幼虫がついていて驚かされた。

アシタバは主に伊豆大島などで栽培される植物だが、この時初めてセリの仲間ということを知った次第である。

写真1:アカツメクサの蜜を求める♀
 2002.8.14 堀金村
写真2:アシタバに群れる幼虫
 2000.10.7 三郷村
写真1(キアゲハ)

写真2(キアゲハ幼虫)


175「シロシタバ」

シロシタバは、大型のヤガ(夜蛾)の一種で、止まるときは見せない下翅に白い斑紋が広がるのでこの名がある。

このガの特技は何といっても「木遁の術」であろう。前翅の斑紋は、木の樹皮に似せているだけでなく、裂け目や地衣類にそっくりな模様をバ ランスよく配置する念の入れようである。

自然の芸術の妙を篤とご覧あれ。

写真:2002.8.17 大町市
写真1(シロシタバ)


176「スジボソヤマキチョウの飛翔」

山すそに開けた畑は蕎麦の花盛りだった。農家の人は畑の入口付近に切花用の花を作っていて、白く染まる蕎麦畑を背景に、ケイトウや百日草 が一際美しく咲いていた。

そんな花々に魅せられてチョウたちが集まってきていたが、とりわけスジボソヤマキチョウの数が多く、それも雌ばかりであった。

花から離れない彼女たちを見て、飛んでいる場面の撮影に挑戦してみた。普段使っているN社のデジカメは、シャッターのタイムラグが大きいた め、こうした撮影には不向きだ。ここは、O社のズーム機能付きのデジカメを使うことにした。

絞り優先モードにして絞り込み、ズームレンズは最も広角に設定した。また、ストロボを発光させ、飛んでいるチョウを止めるようにした。

花畑の前にどっかりと腰を下ろし、カメラを構えて1時間ほど撮影した。まともに写った写真はほんの僅かであったが、チョウと共に過ごしたひ と時が楽しかった。

2002.8.25 奈川村
写真1(スジボソヤマキチョウ飛翔1)

写真2(スジボソヤマキチョウ飛翔2)



177「サラシナショウマ」

林道わきの草むらで、身の丈ほどもある独特の花を見つけた。キンポウゲの仲間のサラシナショウマである。

サラシナショウマの名は、その若葉をゆでて水にさらし、食用にしたところから付いたという。たくさんの花を集めて30cmはあろうかと いう、大きな純白の花穂を作る。

甘い芳香を漂わせ、ハナカミキリやハナアブたちを誘っていた。

写真:2002.8.25 奈川村
写真1(サラシナショウマ)

写真2(サラシナショウマとアカハナ)


178「ヘリヒラタアブの仲間」

サラシナショウマに来ていた虫の中に、腹部に青い斑紋をもつアブがいた。

ハナアブの中にはハチに擬態してか、黄と黒色の縞模様を持つ種が多いが、このアブらしからぬ青い色は新鮮に目に映る。また、斑紋は、怒っ た人の顔にも見えてくる。

ヘリヒラタアブの仲間のマルヒラタアブではないかと思われるが、自信はない。

写真:2002.8.25  安曇村
写真1(ヘリヒラタアブの仲間)


179「ヒトツメカギバ」

ガの仲間は、翅を開いたままで交尾するケースが多く、雄と雌が作り出すシンメトリーな造形にハッとさせられることがある。

写真の交尾するヒトツメカギバは、イケマの葉にピッタリ張り付くように止まっていて、葉との間に隙間も見えない。白く光沢のある翅 はその存在を際立たせていて天敵の標的にならないか心配になる。それとも、四方から睨む目玉模様によほど自信があるのだろうか。

写真1:ヒトツメカギバの交尾 2002.8.25 安曇村 写真2:ミズキに止まるヒトツメカギバの幼虫 2002.5.12 三郷村黒沢
写真1(ヒトツメカギバの交尾)

写真2(ヒトツメカギバの幼虫)


180「エルタテハ」

新鮮な斑紋のエルタテハに出会った。後翅裏面にはチョウの名の由来となった白抜きのアルファベットの「L」字紋があるのだが、このチョウ はLの縦棒が消失していて、−(マイナス)紋になっていた。

非常に敏感なチョウで、近づくことさえままならないことが多いが、この日は間近でゆっくりと撮影することができた。

写真:2002.8.25 安曇村
写真1(エルタテハ1)

写真2(エルタテハ2)



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