bR99「凍て蜻蛉」
霜が降りたこの日、朝の里山を散策した。車を降りた途端に、冷気が肌 を包み込み、しばらくすると体の芯が震えてきた。ついこの間まで、こ こで蠢き躍動していた虫たちの出迎えはなく、虫屋としては一抹の寂し さを感じずにはいられない。
枯れ草を踏みしめながら歩いていくと、突然、白い光沢を帯びた翅が目 に入ってきた。それは凍て蝶ならぬ「凍て蜻蛉」とでも言いたくなる様 なアキアカネであった。翅は破れ体はすっかり色あせて痛々しい。そこ にはもはや群れを成して乱舞していた頃の面影はない。
それでも陽が射し体温が上がると、彼らは枯野に舞い立つ。12月に入っ てもなお飛ぶ姿がある。まるで冬に立ち向かっているようにも見えてく る。

写真1.2:2005.11.13
写真3:2005.8.27
写真4:2005.10.1ベッコウハゴロモを捕食 写真は全て安曇野市
写真No1(アキアカネ1)
写真No2(アキアカネ2)
写真No3(アキアカネ3)
写真No4(アキアカネ4)